2016年11月25日

<嗚呼、広島第一劇場 「踊り子」>




広島に来て、無理してでも、
どうしても訪ねてみたい場所があった。
また、その訪ねるタイミングもはかっていた。

通称、広島の歓楽街、
流れ川にある広島第一劇場
いわゆるストリップ劇場である

今から30数年前、
いやもう40年近く前になるだろうか、
ワスの心の故郷である

高校に入学する前から、
高校を卒業するまで、

何かの節目節目に、
一人、引き寄せられるように通っていた

ワスにとっての、
大人への階段
紛れも無き青春の門だ

この劇場が、
間もなく閉鎖になるという。

スカス、
この記憶があまりにもおぼろげで、
まるで砂上の楼閣のように

あまりにももろく、
記憶の奥から風化し、
すり抜けていく

当時、お世辞にも美人とはいえない、
年齢不詳の何とも妖しい踊り子さんたちで、
隠微な香りに包まれていた

ただ、実に明るく、
すべてを笑い飛ばしてくれるような
明るさとバイタリティーがあった

当時は、間違いなく、
広島駅から歩いて通ったはずである。

スカス、今となっては、
全く、その道標も定かでない。

まるで別人の人生の一端かのように、
その場所や記憶が完全に抜け落ちている

(不思議だ)

今日、仕事帰り、広島駅で途中下車をして、
グーグルマップの誘導で、
広電銀山町下車で、南に350m

何とも健全なまでに綺麗になった、
流れ川の繁華街を歩く

目指す広島第一劇場があった

外観からも、全く記憶に上ってこない
不思議なまでに、心が静かである

躊躇したが、自分の辿ってきた道程を、
逆行するように、思い出にケリをつけるために、
中に入った。

9時半から日付が変わる前まで、
最終ステージが始まる

4人の踊り子さんたちが、
変わる変わる、芸道をみせてくれる

驚いた

ワスの錯覚でなければ、
こんなにも若い女性たちが、天使たちが、
地上に舞い降りてきてくれるとは

鍛え抜かれたステージでのパフォーマンス

30数年の歳月が雲散霧消して、
ワスは、一ッ飛びに、
青春の門に返り、時代を大きく遡る



村下孝蔵という、崇高な詩人であり
広島エリアを舞台にご活躍された、
名ギタリスト、孤高のシンガーソングライターがいた

哀しいけれど、過去形になる

ワス自身、上京して、道に迷って迷って、
ドップリと水商売の世界に浸かり、
完全に自暴自棄に陥っていた頃、

お店の有線で流れた
村下孝蔵さんの「ゆうこ」を初めて聞いた時、
体中を電流が走った。

あまりにも洗練されて、
研ぎ澄まされた詩とメロディーが、
心の中に突き刺さる

歌のもつ限りないパワーと、
その先に広がる
大海原を観たような気がした

その後、どういう運命のいたずらか、
最大限の幸運をもって、

村下孝蔵がいるCBSソニーで、
契約社員として働くことになる

歌謡業界を垣間見ることになるが、
個人的に村下孝蔵命で追っかけの自分は、

興行的な成功よりも、
村下孝蔵さんの未知なる可能性に、
心から惹かれた。

自分にとって、村下孝蔵さんの
心を揺さぶり続けられた
一連の奇跡の5連符

すなわち、

春雨、帰郷、ゆうこ、初恋 踊り子 (少女)

と、その最高傑作に接することになる

初恋でスマッシュヒットになり、
世間的には、広く認知を得て、
商業的には成功をおさめたが、

その後で踊り子が出た時には、
更なる喜びを感じた

当時、ワスは、主に埼玉の有線所廻りを担当していたが、
踊り子のキャンペーンの一環として、

音楽関係者に、踊り子には、いくつ
「つまさき」という言葉が出てくるかという
アンケート葉書を配布して廻った。

正解者の中から、その景品がウォークマンか何かで、
ワス自身、懇意にしていた有線所の女性スタッフに、
こっそり、その景品を贈った思い出がある


その後、日本を離れて、
村下孝蔵さんの突然の訃報に接したとき、

ただただ、心がざわついて、
これ以上ないぐらい、痛みを覚えた。

年月が流れる

ワスは、正確には、37年ぶりに、
思い出の地、広島第一劇場にきた

もう、信じられないぐらいの、
若くて、綺麗な踊り子さんたちが、
渾身のパフォーマンスをみせてくれる

その突き抜けるような笑顔の下に、
どれだけのご苦労が重ねられているか

ただ、そんなことはオクビにも出さず、
それこそ、すべてを脱ぎ捨てて、

華麗に優美に舞う地上の天使、踊り子
お客様を楽しませる真のプロフェッショナルだ

もう、10年前とか、20年前とか、30年前とか、
はたまた40年前とか、そんな難しいことは考えず、
目の前にあることにこだわり、素直に感動したい。

また、踊り子さんたちの熱気とパワーに
当初、自分が感じていた以上の、
静かだけれど、確かな闘志を頂いた

これまで、突然、個人的な事情があって、
約3ヶ月にわたり、その時々に感じたものを、
ネットにただ一方的に拙い駄文で長々と書き連ねてきたけれど、

とりあえず、今日をもって、
一時の休息としたい。

村下孝蔵さんの「踊り子」が、
静かにくるくるまわってきて、
脳裏に沁み入って来る

踊り子さんたちの天使のパフォーマンス
彼女たちのプロとしての矜持が光ります。

ワス自身も、ようやく、
気持ちがふん切れそうになりました。

一歩踏み出す勇気、
今日この時の感動を忘れないようにして、
また新たな人生のやり直しをしていきたい。

決して死に急ぐことなく、
まして、生き急ぐことでもない。

流れ川から日付が変わりつつ、
テクテク、横川まで帰る道すがら、
いろいろなことが、つまさき立ちでまわってくる

まだ、今後、どうなっていくのか、
自分自身にもわかりかねるけれど、

とにかく、ボチボチ、無茶はやめて、
地に足がついた生活をしていくべきだと、
気落ちを新たにする。



今後、母親が大丈夫であれば、
そう遠くない未来に、タイに戻る算段もしていく

つまさき立ちは、踊り子さんたちの、
一つの生き方の矜持であり、
プロフェッショナルであることの証

決して無理をしているのではないけれど、
自分に今、一番欠けている部分である。

踊り子のメロディーと共に、
たくさんの冬の景色、情景が似合う、
村下孝蔵さんのその他、珠玉の名曲の数々を想う

暫し、村下孝蔵さんのご冥福をお祈りしながら、
自分自身の生き方を考えていきます。


合掌


ありがとうございました。


「踊り子」by村下孝蔵
→ https://www.youtube.com/watch?v=RndHywNPTp8

「ゆうこ」by村下孝蔵
→ https://www.youtube.com/watch?v=iDibModp4eQ

この記事へのコメント
バンコク在住 同世代の者です。 いつもタイフリークさんの切ない文章に癒されました。 今回でブログが一時休息との事 大変残念ですが いつか 再開されることを待っています。
Posted by 健二 at 2016年11月25日 15:23
mixiの頃からお世話になっている者です。
最近こちらのブログが更新されているのに気付いて毎日拝見させて頂いていました。
タイフリークさんの文才、観察力の鋭さ、毎日の仕事が大変そうなのに前向きな姿勢。
そう無茶はなされないで身体を大切にしてまたブログ更新をされるのをお待ちしております。
Posted by サンヤー at 2016年11月27日 09:57
タイフリーク様
先日メールしたワタです。
E-MAILは開けられなのでしょうか?
毎日楽しくメール拝読させて頂いていましたが、またお休みと淋しく思っております。
再会楽しみにしております。
よろしくお願いします。
Posted by カラス at 2016年12月03日 19:58
>>>健二様、、、
もったいないお言葉ありがとうございます。何だかきちんとしていないのですが、また、いつかタイに戻れますように、少しずつ、あたためていきます。どうぞよろしくお願い致します。

>>>サンヤー様、、、
お懐かしゅう存じます。その節は、大変お世話になりました。もう、10年以上前になりますが、mixi の方で、ずっとお付き合い下さいましたですよね。ブログで、自分なりに何か、発信できたらと思います。またどうぞご指導下さいませ。

>>>旅硝子?!様
ですよね。ワタ、、、違ってるでしょうか。
E−メールの方でも、やりとりができていたかなと思います。またどうぞよろしくお願い致します。
Posted by タイフリーク at 2017年05月27日 11:29
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