2006年08月26日

<後半>「99STORIES」&「66STORIES」永田玄著



世の中は何とも不思議な事象で満ち満ちている。

何が正しくて何が間違いなのか、
時としてわからなくなってきたりもする。

換言すれば、物事にはすべからく二面性があり、
まるで鏡のこちら側と向こう側のように相反するみたいに、
それでいて表面上は何事もなく共存しているのかもしれない。

永田氏の「99&66STORIES」を一読した際、
まず、そういった物事の二面性の揺れを強く意識しました。

  ・
  ・
「生と死」
「正と悪」
「表と裏」
「光と影」
「昼と夜」
「男と女」
「人と動物」 
「幸と不幸」
「喜びと哀しみ」
  ・
  ・


何が絶対か?!というその認識は、
何を基準にしてプラスとマイナスにするかということに似て、
所詮、空しく儚い世の矛盾を確認する作業に他ならない。

人は皆、あくせくと働く中で、
その何か絶対的なものを後生大事に信じて、
それを守るために鞭打つかもしれないけれど、、、

ふと立ち止まってよくよく考えてみると、
その大事なものって一体何だろう、、、?!
金、名誉、地位、家族、体面、etc. etc.,,,,,

もし、そのどれかを否定したところで、
今の生活がそれほど変わるわけがない。

今、この瞬間に自分という「個」が消え失せても、
そりゃあ〜、しばらくは誰か悲しんでくれもするだろうが、、、

それもやがて、水面に落ちた小石の描く水紋に似て、
いつかは凪のごとく平静の穏やかな表情に終焉されるだろう。

決して一人一人の存在意義を否定しているわけではない。

逆に神(というものが存在するならば)や自然の前で、
一人一人の人間が、
何とちっぽけで無力であるかを問い質したい。

永田氏の<超短篇>のメッセージには、
人間の縮図がせつなくも温かく盛り込まれている。

世の中のミステリアスでペーソスでアイロニーな情景を、
実に奇妙なシニカルなタッチで捉えられている、、、



「99STORIES」の一章目、、、

「魚の仕業」では、、、

通りで、突然の尿意に襲われた男が、道端で放尿するも、
オシッコの池ができても、まだその放尿は、
消防車のホースのように止まるところを知らない。

ついには、さらに水位が増したオシッコの池から現れた、
一匹の魚が、男のオチンチンをくわえてしまい、、、
ようやくオシッコが止まりました、、、


とさ、、、

<ぶっ飛びました!?>

これが、あの「チェンマイ満腹食堂」の著者と、、、
果たして同一人物なんだろうか???

自分は、正直申しまして、
その瞬間ページを閉じようとさえ思いました、、、

それが不思議なんです、、、

まるで何かに操られるように、
まるで媚薬をかがされたように、、、
ページをめくる手が止まりません、、、

「99STIRIES」に限っていえば、
99の珠玉のストーリーがそれぞれ、
14のカテゴリーに分けられています。

hon 010.jpg
世にも不思議な99のストーリー

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

* (1)<夢想>:10篇

「来訪者」では、
まるで、阿刀田高のイメージに加え、、、
星新一ばりの奇抜なストーリーテラー、、、

* (2)<女の中の女>:10篇

いろいろな女が登場し、
例えば、「ミミズの女」、、、
このタイトルだけでミスリーディングさせられます。

* (3)<戯け者>:8篇

いろいろなオチャラケな人物が登場しますが、、、
「天才」では、なんと「勘違いの天才」が出て、
天才の文字の語感のイメージが見事に引っくり返されます。

* (4)<動物の悩み>:7篇

身近な動物から変な動物まで出てきますが、、、
「バクの夢」では、行数にしてわずかに2行、、、
実に、物事の本質を突いてます。

* (5)<為になる話>:6篇

この副題の<為になる話>自体が逆説めいていて、、、
「笑う夫婦」では、これまたわずかに4行で、、、
現代の夫婦の実態像を浮かび上がらせています。

* (6)<肉体>:8篇

いろいろな肉体的特長をもった男たちの登場、、、
「肛門の男」、、、解説の必要全くなし、、、
タイトル通り、読めばわかります。

* (7)<怖い話>:7篇

全編を通して一番興味深いストーリーが目白押しです。
<秘密>、、、東野圭吾さんを彷彿させながら、ズドン!?
子供でも娘でもない少女の赤いスカートに入っていたものは??

* (8)<友達>:5篇

主に人間でないいろいろな対動物同士のお友達の話、、、
「青いヒツジ」では、作風がガラ〜ッと変わって、
メルヘンタッチの癒し系、、、

* (9)<五つの男らしい男の話>:5篇

副題どおりでないどれもアイロニーっぽく男らしくない話、、、
「歴史を作った男」では、これまでの英雄という価値観を覆し、
所詮、人間は人間でしかないということを痛烈に皮肉っている。

* (10)<恋心>:4篇

わずか4篇ですが、、、いろいろと考えさせられます、、、
<擬態>では、アリとハチのありえない恋の物語ですが、、、
どういうわけか自分に置き換えて身につまされるお話でした。

* (11)<世界一の人達>:11篇

いろいろ実に間抜けで馬鹿馬鹿しい世界一11人衆、、、
ここでも出ました、、、「世界一の肛門男」
永田氏はどこか肛門に愛着があるのでしょうか?!

* (12)<図々しい人々>:7篇

図々しいにも程がある、でもこの7人衆はどこか憎めない!
<カリスマ氏>もわずか2行でその本質を抉られ、
<某氏>が電車の座席に忘れたものとは、、、

* (13)<偏屈な男たち>:6篇

この世にはいろいろな偏屈な男たちがおりますが、、、
<おいしい舌>では、やはり世の美食家を痛烈に皮肉り、
<倹約家>でもその度が過ぎた行為の無意味さを説いています。

* (14)<夜の出来事>:5篇

<夜の出来事>で何となく哀愁を感じさせますがとんでもない、、、
「鉄の男と硝子の女」は、現代の大人の童話にもなりそうな、、、
最後の「活字と映像」では現代社会に一投石を浴びせています。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

大人の寓話あり、メルヘンあり、SFあり、
奇想天外、この世に有り得ない話、、、
(でも有り得ないこともないんじゃないかと思わせる話)

気づいた時には、、、最後の最後、、、

<僕の正体/あとがきにかえてーーー>

100番目の物語、、、


に至っていました。

この100番目の物語がまた傑作です。
永田氏が赤裸々に自分を飾ることなく、
その珍妙な顛末を暴露されており、、、

これで自分は、永田氏を身近に等身大の人間として感じ、
そして、ますます「永田玄」という人物が好きになりました。

さて、紙面が尽きました、、、

「66STORIES」もさらにバージョンアップされて、
この世の画一化された現代社会を吹っ飛ばす、
毒意と優しさが同居したカタルシスを生む好作品です。

永田氏本人から本についての自分なりの感想を、
ブログで公表してもいいというお許しを得ましたので、
自分の想いの丈をそのまま述べさせて頂きました。

最後に、永田氏本人のお言葉で、、、
この号を締めくくらせて頂きたいと存じます、、、


「世の中不思議なことがあるのだから、
軽々しい常識で『人生 なんてこんなもの・・・』と、
したり顔で油断などするなよ!」と言いたいのです。

時には世間に石など投げつけてやりたくもなるのです。
ちょっとアナーキーな気分もありますし、
笑い飛ばしたいところもあります。

シニカルでもあります。」



まさに仰せの通りにございます。


永田玄様、、、

ステキな2冊のご本を、
本当にどうもありがとうございました。



この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。