2006年04月16日

「純情きらり」、父親とは?!



ソンクラーンの中日14日、金曜日の朝、
四十九(小)僧托鉢式が済んで、ランプーンに向かった。

しかし、どうにも気になって仕方がないことがあった。

4月の始まりからずっと欠かさず観ている、
NHK朝の連続ドラマ、「純情きらり」だ。

昭和初期のレトロな雰囲気もさることながら、
どこか明るくて、ハイカラさんで、勇気をもらえる。
観るたびに、ドラマの展開に吸い寄せられていく。

<このおかげで、といいますか、
歯がゆいながらも、NHKとの契約を今月も切れなかった。>


主人公「桜子」の幼年時代の1週目の放送が済み、
いよいよ宮崎あおいが本格的にヒロインを演じる2週目に突入。

きらり1
不思議な透明感のある中性的な宮崎あおいさん

三浦友和演じる父親との会話、立ち振る舞いの交流の中で、
何度も胸を打つ、心に沁みるいいシーンがあった。

<この娘にして、この親あり、何ともいい親娘像だなあ!>

ついつい自分の家庭、親と娘を重ね合わせて、
物語に引き込まれておりました。

そして、その金曜日の朝6時半、放送終了間際。

<突然の落石事故に遭遇し、意識不明の父親が、
家族の切なる願いが通じ、息を吹き返す。>


その時の、三浦友和の演技が素晴らしかった。

今は亡き妻の面影と娘をだぶらせながら、
苦界の淵から生還し、淡々と穏やかに娘桜子にいい説く様は、
父親という役割を超越して、神々しくさえ見えた。

<あれ、これって、もしかして亡くなっちゃうの???>

心に小波を震わせたような余韻の中、
ドラマの急転直下に、妙な胸騒ぎを覚えてなりません。

家人の実家では、例のごとく派手なドンチャン騒ぎで、
1年分の憂さを晴らそうかというソンクラーンの光景。

ラオカーウ(タイ産米焼酎)の火の出るような喉越しも、
パンツまでグッショリと濡れ鼠状態に晒されても、
まるで他人事のように、どこか上の空で、心ここにあらず。

そう、事ここに及んでも、たかがたった15分足らずの、
その「純情きらり」の続きが気になって仕方がないのです。

親類一同、皆、アチコチで酔いつぶれる中、
明け方、暗闇の中、そのわずか15分のために、
80kmの道程をバイクを吹っ飛ばして帰ってきました。

タイ時間で、15日の朝の6時15分。
何とか間に合いました。
呼吸を整え、襟を正して、NHKに見入りました。

そして、ドラマの行方は、、、


案の定といいますか、
脚本家の見事な術中に嵌ってしまったといいましょうか、
異常な感情の高ぶりの中で、堰を切って号泣しました。

きらり2
涙涙涙、この話の展開には全く意表を衝かれました

ドラマの中で、医者の発する「ご愁傷さまです。」の言葉に、
おそらく、当の笛子より杏子よりも勇太郎よりも、
声を挙げて大泣きしていたのは、他ならぬ自分ではなかったか。

肝心の桜子が父親に取り縋れないで、
必死になって耐えているのが胸に沁みました。

−−− さて、私事になりますが −−−

自分の父親が中学の折、肝臓癌を患って他界したとき、
傍らで、母親が気も狂わんばかりに泣き叫んでいたのに、
妙に醒めたように、実感がなくて涙一粒さえ出ませんでした。

父親の最期は悲惨で、ガリガリの骨ばかりに痩せ細り、
モルヒネで痛みを和らげているとはいえ、
苦痛を、あるいは別の何かを訴えるかのように、
音なき口をパクパク動かしていた。

その後、医者の「ご臨終です。」という言葉を聴いた直後、
父親の左の目尻から一筋の涙が流れているのに気づいた。

今ならよくわかる。

<親父も、さぞや無念であったろう、、、>

−−− 元へ −−−

ドラマの中での涙の矛先は、これだけに留まらない。

<初七日が過ぎても、まだ現実を受け止められない中、
有森家に突然ピアノが届けられてくる。>


それはまさしく晴天の霹靂だ。

この週のサブタイトルが、<ピアノがやって来た>なので、
ずっと気にはなっていたのだが、週の最期の最期に、
こういう形で、物語を紡いでいくとは、やられました。

伏線は確かにあったんです。
(父親の勤め先の役場で退職金の前渡し云々、、、。)

三浦友和演じる父親が、
娘の将来のために払ってきた犠牲の数々。
一方、それに気づかない天衣無縫なヒロイン桜子。

それは、過去から未来永劫に亘って普遍的な、
親の子供に対する無償の愛ではないか。

そして父親の目は、他の子供たちにも、
家族という絆で、平等にあたたかく注がれている。

きらり3
親が子に寄せる無償の愛

<ピアノがやって来た>

何て素晴らしいサブタイトルでしょう。

家族が絶望の中、寄り添い、新しく一歩を踏み出す、
ピアノはそんなささやかな希望の象徴でありましょう。

涙が乾きかけたのも束の間、
このピアノのシーンに最期の一滴まで、涙を絞りました。

<本当に誰もいなくてよかった。
実の父親が死んでも泣けなかったのに、
ドラマの中の父親が死んで泣くとはこれいかに?!>


今頃になって、自分の人生を重ね合わせながら、
それだけ、感情移入出来すぎちゃったんでしょう。
それにしても恥ずかしい。(涙腺が緩みっぱなしだ。)

僅か15分の限られた枠の中で、
二段構えにも三段構えにも劇的に展開とオチがあり、
まさしく、脚本家の方の掌(たなごごろ)の中で、
思惑通りに感情を踊らされてしまいました。

悔しいけれど、わかっちゃいるけど、心に沁みました

それにしましても、
三浦友和さんっていい役者さんになられたんですね。

NHK大河ドラマ「利家とまつ」の兄者ぶりもよかったが、
気負いなく、でしゃばらず、それでいて芯の強さがある。

昔は山口百恵さんのどこかしらナヨナヨした旦那さん、
というイメージでしかなかったが、
どうしてどうして、すごい存在感でした。

こうなりましたら、ヒロイン桜子が、ドラマの中で、
是が非でも東京の音楽学校目指して頑張るだろうという、
その大きなモチベーションも違和感なく受け入れられます。

父親の大きな無限の愛が、優しく後押ししてくれているんです。

たかが、NHKの朝ドラにここまで入れ込んでしまうのも、
どこか、現実世界での父親と娘に准えてしまうからでしょうか。

家族の行く末を案じながら他界した父。
その亡くなった父親の年齢をとうに過ぎてしまった自分。
そして、こんなに頼りない男を父親と崇めてくれる娘。


本当にいまさらながら、しっかりしなきゃと思う。

4月15日、ソンクラーン最終日。

奇しくも、家人との13回目の結婚記念日

もう一度、バイクを駆って、土砂降りの水掛け嵐の中を、
愛する家人、娘、息子たちの待つランプーンへ向かおう。

涙という涙を拭い去り、大水を浴びて、
今度は、心置きなく酔えます。
夫として、父親として、家族として、、、。



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