世の中は何とも不思議な事象で満ち満ちている。
何が正しくて何が間違いなのか、
時としてわからなくなってきたりもする。
換言すれば、物事にはすべからく二面性があり、
まるで鏡のこちら側と向こう側のように相反するみたいに、
それでいて表面上は何事もなく共存しているのかもしれない。
永田氏の「99&66STORIES」を一読した際、
まず、そういった物事の二面性の揺れを強く意識しました。
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「生と死」
「正と悪」
「表と裏」
「光と影」
「昼と夜」
「男と女」
「人と動物」
「幸と不幸」
「喜びと哀しみ」
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何が絶対か?!というその認識は、
何を基準にしてプラスとマイナスにするかということに似て、
所詮、空しく儚い世の矛盾を確認する作業に他ならない。
人は皆、あくせくと働く中で、
その何か絶対的なものを後生大事に信じて、
それを守るために鞭打つかもしれないけれど、、、
ふと立ち止まってよくよく考えてみると、
その大事なものって一体何だろう、、、?!
金、名誉、地位、家族、体面、etc. etc.,,,,,
もし、そのどれかを否定したところで、
今の生活がそれほど変わるわけがない。
今、この瞬間に自分という「個」が消え失せても、
そりゃあ〜、しばらくは誰か悲しんでくれもするだろうが、、、
それもやがて、水面に落ちた小石の描く水紋に似て、
いつかは凪のごとく平静の穏やかな表情に終焉されるだろう。
決して一人一人の存在意義を否定しているわけではない。
逆に神(というものが存在するならば)や自然の前で、
一人一人の人間が、
何とちっぽけで無力であるかを問い質したい。
永田氏の<超短篇>のメッセージには、
人間の縮図がせつなくも温かく盛り込まれている。
世の中のミステリアスでペーソスでアイロニーな情景を、
実に奇妙なシニカルなタッチで捉えられている、、、
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